研究内容

生物は複雑な機能性生体分子から成り立っており、有機化学が到達できる究極的な姿を示しています。
私達はこのような生体分子の構造と機能に着目し、有機合成化学を武器として、これまでに無い機能や性質を有する新たな物質の開発にチャレンジしています。

1. 脂質二重の機能化

親水性部位と疎水性部位を交互に連結し、複数回膜貫通したマルチブロック型両親媒性分子を開発し、脂質二重層中で生体のイオンチャネルのような物質透過能を示すことを発見しました。この報告を皮切りに、脂質二重層に局在し、リガンドや外部刺激に応答して、自己集合しイオンチャネルとして機能を発揮する系を多数確立しています。

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1. 脂質二重層の機能化

2. 単分散PEGのエンジニアリング

通常多分散であり、生体適合性高分子として活用される直鎖状ポリエチレングリコール(PEG)を、単分散・多角形型に構造化した分子を開発し、全く異なる物理的性質や、タンパク質を安定化する機能を引き出しました。単分散PEGの構造に注目し、多分散PEGには見られない新たな性質を見出したり、タンパク質の新たな修飾法を展開したりしています。

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2. PEGのエンジニアリング

3. 粘度応答性オルガネラプローブ

分子の構造変化によって光るようになる有機分子を利用し、高粘度な領域で発光する水溶性蛍光プローブを開発しました。この分子は細胞内のある細胞内小器官(オルガネラ)へに集積し、従来の分子では明らかにされていなかった細胞の新たな構造・機能を発見します。

4. 生物活性を経時的に制御する人工的なシステムの構築

生物の非平衡反応を模倣した人工的なシステムにより、生体分子と相互作用できる界面活性剤を過渡的に生成する系を構築しました。生体直交性に優れた化学反応システムにより、時間依存的に生物学的現象を調節できるような次世代の機能超分子材料の開発の第一歩を踏み出しました。

ここに挙げた例以外にも、多岐に渡る研究を展開しています。詳しくは発表論文ページをご覧ください。